「変わってるね」は褒め言葉

一部上場の大企業を辞めて起業したCEOの戯言

日本のITエンジニアは何をすべきか?

f:id:michipdale:20160414012843j:plain 前職の大手電機メーカーでソフトウェア開発を10年ぐらい前までは中国に依頼していた。オフショアっていうやつだ。

そして中国の単価が上がってくるに従い、より安いところ、例えば台湾、インドへと依頼先が変っていった。最近、IT業界だとシンガポール、マレーシア、タイあたりも急成長してきているらしい。

いまや中国の奥地でもアフリカでも携帯/スマフォでインターネットに繋がる時代。昔とちがって英語の勉強も数学の勉強も、もちろん、プログラムだってネットの先にサンプルもあれば先生もいる。

アジアのまさに今発展しようとしている地域の子供は、親を養うために、と、どん欲になって勉強する。かつては教科書もなければパソコンなんてものはなかったから大学に入るまで教育レベルは低く学ぼうとしても学べなかったのに対して、いまは本当に良い時代だ。彼等はいつでもどこでも学んで吸収していく。

かつてのように日本の大学生や若いエンジニアは世界的にみて大きなアドバンテージはなくなっている、と思うのだ。

もう要件のきまったモジュールを開発するとかそういうのはどの国でもできる。要件決めや上流設計すらオフショア先でできてしまうぐらい人がそだってきている。

インドやマレーシア現地で人気の会社は、中国>韓国>日本の順らしい。かつては日本の企業で働きたい!と名指しだったのが今ではまったく人気がないそうだ。

理由は簡単。

中国や韓国の企業は、欲しいスキルをもっている人材を大金払って雇う。でも教育している時間がないからほぼ現地で全部マネージメントしてやらせてしまう。かなり無茶ぶりだが責任も大きいがやりがいがある。そしてパフォーマンスがあがらないとすぱっと切る。分かりやすいロジックだ。

一方、日本企業は、あくまでもマネージメントやコントロールは日本人がやる。やりたがる。だから日本人の駐在員があれこれ一から日本流のやりかたを教育する。しかし文化の違いや考え方の違いでなかなか思うようにいかないこともある。特にオフショア先のエンジニアにはMITだのスタンフォードレベルの大学を出てきてる人もいて「なんでこんなしょーもないことやらせるの?」みたいになるらしい。 結果、やったら時間かけて一から教育させられて日本の型にいれようとするが給料は中国企業の3〜5分の1なんだから辞めていく。おいしいところは日本人がやるのだから当然といえば当然の結果。

自分の経験だとまだまだインドやマレーシアのトップソフトウェアベンダでもまだまだだなぁと思う事はおおかった。ソフトの品質管理とかテストの仕方とか上流設計の組み方とか。ただ、これももうちょっとすると追いついてくるだろう。

下手すると日本人よりも早く良いものを創ってしまうかもしれない。

さてそんなときに日本人エンジニアは何をすべきなのか?

クリエイティビティな部分?

よくそういう話をするけど本当にそれが日本人としての差別化できるところなのか?

答えは自分の中でもまだ出ていない。

なんとなく鍵としてありそうなのは、日本に居る事のアドバンテージを生かすことなんじゃないだろうか。

いくらSkypeでいつでもリアルタイムで対話ができても、アーカイブから論文なりプログラムをひきだして読む事ができても、YoutubeGoogle Earth で仮想的な体験ができても、リアルに勝る部分っていうのはあるはず。

以前、インドの会社に海のCGをコンテンツで作らせたのだがどうにもこうにもエンジニアと話が通じ合えない。そりゃそうだ、後から聞いたら、彼等は本物の海をみたことが1人もいなかったのだ(内陸部の会社だったので)。

これは極端な事例だが、リアル体験に勝るものなし、ということを実感した思い出なんだが、そのあたり何かヒントにならないか、と思っている...

いや、もう "日本人" という枠で考えるのではなく、世界のITエンジニアとして何を武器に差別化していくか、を若い頃からかんがえておかないといけないのかもしれない...